博士の愛した数式

先週思い立って読み返し始めた小川洋子さんの「博士の愛した数式」をご紹介させていただきます。

寺尾聰さんと深津絵里さんのキャスティングで映画も作成されたので、
知っている方も多いのではないでしょうか。

不慮の事故で80分しか記憶が持たない障害を負った数学博士と、
そのお世話にやってきたあたらしい家政婦さんとその息子のルートの
心温まる日々の物語です。

私は、数学は決して嫌いではなく、むしろ他の教科よりも好きな部類でした。
ただ、この本に出会って、学生時代にこれを読めていたら、きっと数学に愛を感じていただろうと思います。

博士はどちらかといえば、無口な人物です。
しかし、その言葉の端々には博士の数字への愛情がにじみ出ています。
新しい家政婦と出会ったときも、くつのサイズという数字を通して関わりを持とうとしたり、
相手が数字に興味を示すと、自分の子供や親友に好意を向けられたかのようにうれしさをにじませたり、
彼にとって数字が最愛の友であり、人生であることがとても強く伝わってきます。
その博士の数字との付き合い方が、読んでいる自分にも伝わってきて、
なんだか数字に表情や仕草を感じるような親しみが沸いてきます。

そして、何よりも私がこの本で大好きなのは、物語の雰囲気です。
古びた人のいない書斎にいるような、
小窓のカーテンを揺らすそよ風を感じるような、
静かで落ち着いた静寂の居心地の良さ。
この本を読むと、そこがどこであっても、心落ち着く場所に変わるような不思議な錯覚に陥ります。

少し心が疲れたとき、やる気が出ないとき、
癒しを与えてくれる一冊です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です